オルカンFIREの美学

オルカンでFIREを目指している中年男性のおはなし

悩みの種

会社で向かいのデスクに座っているMさんが新型コロナにかかって休んだ。普通なら自分もかかったかな、と心配になるようなものだけれど、そんなことも言っていられない事件が起きた。


うちの会社の給湯室には自由に飲んでいいインスタントコーヒーのビンが置いてある。ただ、正直あまりおいしくはないので、こだわる人は自分のビンを置いていて、大きな共有のビンの隣には、いくつかフタに名前の書かれたビンが並んでいる。


その中にMさんのビンもあるのだが、側面に何か書いてあることに気が付いた。


「種」


……タネ?タネだって?これはどういうことだ。頭の中でざわ…ざわ…と音がした。


Mさんのビンは高さ10センチくらいの角の取れた四角柱、中には7割くらいインスタントコーヒーが入っている。いや、正確にはインスタントコーヒーに見える茶色の粉末が入っている。
茶色の粉末はゴールドブレンドみたいな顆粒ではなく、ブレンディみたいな粉末だ。


まさか…土なのか?


ありえない話ではない。いやありえない。わたしは少々パニックになりながらも、女性の持ち物に触ることもできず、遠巻きに見ることしかできなかった。


もしこの中にタネが植えられているとしても、発芽には基本的に温度と水が必要だ。見たところ湿り気はない。それはそうだ、インスタントコーヒーなのだから。しかし…。


その時同僚が給湯室に入ってきたので、わたしは濃く出すぎた紅茶を持って退散した。シブい紅茶に顔をしかめながら仕事をしたが、どうにも「種」が頭から離れない。Mさんの抜けた穴を埋めなければいけないのに、週の後半はひどい仕事ぶりであったと思う。Mさん、早く復帰しておくれ…



本日の総資産額:45,959,318円